首絞め強盗がむかし流行ったスペイン・マドリードで、ちょっと怖い目に遭った話
ヨーロッパというと、先進国で、キレイなヨーロッパ風の美しい街並みがあって、教会があって、治安も良くて、なんていうイメージがあるかもしれませんが、治安に関しては意外に良くないところがあります。
たとえば写真のスペイン・マドリードなんかは、昔(十数年以上前)は首絞め強盗が多発(年間数百件)することで有名な街でした。「首絞め強盗」って、もう名前だけでも恐ろしげな雰囲気ですね。その名前の通り、首をしめて気絶させたり、暴行を加えて動きを止めたりしているうちに、金品を奪ってしまうという強盗です。怖すぎる。人気のない路地や夜遅い時間に単独で行動していると、襲われやすかったようです。
もっともこれは昔の話で、現在では首絞め強盗の話はめったに聞かれません(それでもゼロではない)。スペインは基本的にはそこまで危険な国ではなく、気をつけて行動していれば楽しく旅行することができる国です。基本的には。
私は首絞め強盗に遭ったわけじゃないのですが、マドリードでちょっとした危ない目には遭いました。
マドリードって、人がたくさんいて、賑やかな大通りを歩いている限りでは、まるで危険な雰囲気はないんですよ。
ただ、一本メインロードを外れると、途端に人気が少なくなることがあります。大通りには数百人の観光客がいるのに、一本道を外れるだけで地元の人以外は誰もいなくなったりする。
私が歩いていたのも、そういった通りでした。路地というほど狭くはない普通の道。大通りから一本だけ外れた道。
人気は少なかったものの真っ昼間だったので、それほど警戒はしていませんでした。
私がふつうに歩いていると、地元の人らしい男性がにこやかに握手を求めてきます。
ここで反射的に握手に応じてしまったのがまずかった。手を握ったあと、男がいきなり柔道だか空手だかのまねごとをし始めたんです
どこかで聞いたことがあった。こうやって格闘技の真似をするフリをしてごちゃごちゃしているうちに、財布やバッグを盗み取るってやり口。
とっさに「やばい!」と気づいて、おもいっきり強く振り払って逃げました。男はそれ以上追いかけてきたりはしなかったので、なんとか助かりました。
私は幸い何も盗られはしなかったものの、一歩間違えたらカバンや財布を盗まれていたんじゃないかと思います。
強い力で手を握られていたので、女性だったら振り払うのが難しかったかもしれません。軽く振り払うだけでは逃がしてくれず、めちゃ怖かった。
周りには何人か人がいたのですが、ニタニタして見ているだけ。まったく助けようともしてくれませんでした。こんなもんかあ。こんなもんだよなあ。もしかして仲間だったのかなあ。
大声出してたらどうしてたんだろう。ちょっと遊んでいただけ、とかそういうので終わりかな。警察も頼りにはならなさそうだし……
夜中だったらもっと警戒していたんですけどね。人が大勢いる通りのすぐそばで、真っ昼間からこんな目に遭うとは思いませんでした。
まったく、油断禁物です。自分の身は自分で守るしかない。そのことが身にしみた出来事でした。