ランドクルーザー>パジェロ>ハイエース in タジキスタン
写真は中央アジア、タジキスタンのパミール高原。キルギス国境付近。
タジキスタンは東に中国、北にキルギス、西にウズベキスタン、南にアフガニスタンと4つの国に囲まれた中央アジアの共和制国家。旧ソビエト連邦の国の一つでもあります。
タジキスタンも含めた中央アジアでは、日本の自動車が大活躍しています。もちろん日本以外の諸外国の車も走っていますが、長距離移動用では日本のSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)が半端でなく強い。つまりタイトルのトヨタ・ランドクルーザーや三菱・パジェロです。そしてSUVではないですがトヨタ・ハイエースも。
このタジキスタンのような国では整備された道がまだまだ少なく、道なき道をガンガン進んでいかなければならない場合が多い。そんな時おあつらえ向きなのが、日本のSUV。道ともいえない道を進み、大雨で増水した川でさえ渡っていくことができる、耐久性の極めて高い自動車です。
タイトルに書いた『ランドクルーザー>パジェロ>ハイエース』というのは、タジキスタンでの運賃相場の高い順番です。ランドクルーザーが一番高くて、ハイエースが一番安い。もちろんもっと安い車もあるでしょうが、ある程度の人数を乗せて長距離を走る自動車はこの3車種が多かったですね。
タジキスタン国内では長距離移動の場合、公共の交通機関とかが無いんですよね。まあ普通のバスとかではとても進めないような道ですからね……。
私は実際に首都のドシャンベからパミール高原、ゴルノ・バダフシャン自治州のホログ(Khorugh)に移動しました。その時に話を聞いて回って相場を調べてみました。
その時点(2012年)での相場はランドクルーザーが300ソモニ、パジェロが250ソモニ、ハイエースが200ソモニというものでした。
日本円に換算すると約7050円(300ソモニ)、約5875円(250ソモニ)、約4700円(200ソモニ)というところでしょうか(1タジキスタンソモニ=約23.5円で計算)。
私は交渉が下手なほうなので、おそらくボられています。地元の人たちの値段はもっと安いはず。ですのであくまでタジク語もロシア語(タジキスタンではよく通じる)も話せない普通の旅行者が聞いて回った値段です。
ただ、この値段の順番は不動のようでした。ランドクルーザーが一番高く、その次にパジェロ、最後にハイエース。タジキスタンの人達の中では明確な序列ができているんですね~。故障したときの修理も手際よかったですし、ふつうの日本人よりもよっぽど車のことを知っています。
首都ドシャンベからホログまでは距離にして約556km。時速60km程度で走り続ければ10時間くらいで到着しそうですが、ここでの所要時間は20時間以上。それも道の状況やら何やらによって大きく変わります。
私の場合は朝6時から車を探し回り、車を見つけて人数が揃うまで待って、出発したのが朝10時でした。運転手さんも商売ですから、人数が揃うまで出発してくれないんですよね。一人でも多くの客を乗せなければ商売あがったり。
選んだ車種はハイエース。乗り心地もそこまでの違いは無いだろうと踏んで、安さにつられてしまいました……。
結局朝10時に出発し、到着したのは明くる日の朝8時。車中で一泊。うまくいけばその日のうちに着くかなあと淡い期待を抱いていたのですが、そんなもんは不可能でした。
道悪なので乗り心地はもちろん最悪。車内はギュウギュウ詰め。この時さすがにハイエースを選んだことをすこし後悔しました。ランドクルーザー、いやせめてパジェロを選んでおけば……。
ガードレールも無い山道を夜中にガンガン飛ばしていくハイエース。スリル満点です。いやマジ本当に怖いです。勘弁して欲しいです。死ぬ死ぬ。死ぬから。ホログに無事到着できてほんとうに良かったです……。
日本は道路がよく整備されているので、ランドクルーザーやパジェロの性能を徹底的に使い切る機会はそう多くないのではないでしょうか。
日本で作られた車なのに、タジキスタンのような外国でこうやって自国以上に徹底活用されている。なんだか不思議な感じがします……。
日本の自動車産業は世界に誇れるものだと頭では知っていましたが、こういう経験をすることで心で実感できました。日本車ってすごい!